皆さん、こんにちは。
登録支援機関として、日々外国人雇用をサポートしている行政書士・税理士の山田勝義です。
外国人採用に当たり、どの国の人材を採用するのが望ましいのかというご質問をよく受けます。
受入企業にとっては重要な課題ですね。
特定技能外国人の採用において、国ごとに異なる文化的背景や特性を理解することは、採用後の職場定着や円滑なコミュニケーションに大いに役立ちます。
そこで本ブログでは、ベトナム、インドネシア、フィリピン、ミャンマー、ネパールの特定技能外国人について、それぞれの特徴と対応ポイントを5か国外国人を管理実績に基づいてご紹介したいと思います。
ぜひ皆さんの職場での参考になさってください。
ベトナム
ベトナムについて
ベトナムは、東南アジアのインドシナ半島東部に位置し、人口約1億人、平均年齢32歳の若い労働力を持つ国です。
名目GDPは約4100億米ドル、一人当たりGDPは約4100米ドルで、自給率の高い農業国ですが、近年は製造業や輸出産業が経済の中心です。
電子機器や衣料品の製造が盛んで、多くの日系企業も進出しているため、日本式の働き方への理解が比較的進んでいます。
教育水準が高く、識字率は約95%とアジアでもトップクラスです。また、勤勉で真面目な国民性を持ち、日本人との親和性が高いと言われています。
気候は北部と南部で異なり、北部は四季があるため、日本の気候への適応がしやすい傾向にあります。南部は一年を通じて温暖ですが、気候の変化に対する適応力は比較的高いとされています。
社会主義一党制ながら、市場経済を導入し、外国からの投資を積極的に受け入れています。
近年は日本語教育も盛んで、技能実習生などとしての来日経験者も多く、日本での就労に関する情報共有も活発です。
特定技能ベトナム人の特徴と対応ポイント
文化的背景と特徴ベトナムは儒教の影響が強く、家族や上下関係を大切にする文化があり、真面目で勤勉な性格を持つ方が多い一方で、必要以上に指示待ちになる場合があります。
指示出しでは曖昧な表現や抽象的な表現を避けて、具体的な指示を出すことで理解やコミュニケーションがスムーズになります。
仲間意識を高めるためのイベント企画や家族との絆を深める制度、長期的なキャリアパスの提示などで安心感とモチベーションを高められます。
日本国内のベトナムコミュニティからのSNSの情報発信に敏感で、問題があると監理団体や所属機関に相談せず、コミュニティからの助言を受けて問題を解決する傾向にあるため、低い定着率や高い失踪率の要因だと言われています。
インドネシア
インドネシアについて
1万7千以上の島々から成る世界第4位の人口大国で、約2億7800万人が暮らしています。平均年齢31歳と若く、名目GDPは約1.4兆米ドル、一人当たりGDPは約5000米ドルです。ASEANで最大の経済規模を持ち、農業、鉱業、製造業が主要産業です。特に自動車産業や電機産業での経験が豊富な人材が多いのが特徴です。
一年中高温多湿の熱帯性気候で、雨季と乾季があり、日本の四季の変化、特に冬季の寒さへの対応が課題となります。ただし、高地に住む人々の中には比較的冷涼な気候に慣れている者もいます。
特定技能インドネシア人の特徴と対応ポイント
インドネシアは多民族国家で、歴史的に民族同士の争いを避けるため、温和で協調性が高い国民性です。
イスラム教徒が人口の約87%で、職場での礼拝時間や食事制限への配慮が必要になる場合もあります。
「gotong royong(相互扶助)」という考え方が根付いており、職場での協力関係を築きやすいとされていますが、やや自主性に欠ける場合があります。
アジア全般に言えることですが、特にインドネシアは時間にルーズな人が見受けられます。
職場のスケジュールに、礼拝時間の確保が必要な場合もあり、なかなか戻ってこないといった話もたまに聞くことがあります。
チームでの作業を得意とするため、協調性を活かした業務分担を行うと効果的ですが、自主性を促す場合は、いきなり要求をせず、少しずつ責任ある役割を与えていくことがポイントです。
フィリピン
フィリピンについて
7000以上の島々からなる国で、人口約1億1300万人、平均年齢25歳と若い労働力が特徴です。
名目GDPは約4400億米ドル、一人当たりGDPは約4000米ドルです。
BPO産業(コールセンター等)が発展し、海外労働者が約30%と言われるほど海外からの送金が国の経済を支えています。
熱帯モンスーン気候で年間を通じて温暖であり、日本の冬季の寒さは大きな環境変化となります。ただし、適応力が高く、生活習慣の調整に積極的な傾向が見られます。
英語が公用語の一つであるため、職場でのコミュニケーションが比較的スムーズで、通訳や翻訳業務にも長けています。
カトリック信者が約80%を占めるアジア最大のキリスト教国です。
海外での就労経験が豊富な人が多く、英語力も高いため異文化への適応能力が高いと言われています。
特定技能フィリピン人の特徴と対応ポイント
フィリピン人は陽気で親しみやすい国民性で、英語力が高く、コミュニケーション能力に優れており、大半がカトリック信者であるため、特に高齢者や子どもを大切にします。
日曜礼拝への参加を申し出るため、日曜が固定休でない場合は本人との話し合いが必要になります。
時間にルーズな面もあり、スケジュールの自己管理が苦手なため、仕事の上では締め切りや優先順位を明確に伝えることが重要です。
英語力を活かして、他の外国人労働者への通訳役を担える可能性はありますが、ビジネスライクに考えるドライな面もあり、仕事=ギャラで考えるので、業務上のボランティアは理解を得難いです。
常に感謝の気持ちを示すことで、職場への愛着心を高めることはできます。
ミャンマー
ミャンマーについて
東南アジアのインドシナ半島西部に位置し、人口約5520万人、平均年齢29歳の国です。
名目GDPは約693億米ドル、一人当たりGDPは約1250米ドルと、経済規模は比較的小さいですが、豊富な天然資源を持ちます。
年間を通じて高温多湿の熱帯モンスーン気候で、日本の寒冷な冬への適応には特に注意が必要です。来日後は防寒対策や生活習慣の調整に時間がかかる可能性があります。
2021年2月の軍事クーデター以降、政治的混乱が続いており、これが経済活動にも影響を及ぼしています。135以上の民族グループが存在し、約90%が仏教徒という文化的特徴があります。
仏教国として日本との文化的な共通点も多く、価値観の面での理解が得やすいとされています。
日本語学習への意欲も高く、近年は日本語教育機関も増加傾向にあります。
特定技能ミャンマー人の特徴と対応ポイント
ミャンマーは仏教徒が多く、穏やかで礼儀正しい国民性を持っています。
人との争いを好まず横並びを好むため、積極性に欠ける場合があり、指示待ちの人が多い傾向にあります。
控えめで大人しい人が多いのですが、のんびりしているため、丁寧な指導と忍耐強いコミュニケーションが必要です。
感謝や褒める文化があるため、成果を上げた際は具体的に褒めることでモチベーションを高められます。
熱心な仏教徒が多いため、文化や宗教的背景を尊重し、仕事環境を整えることが大切です。
ネパール
ネパールについて
南アジアに位置する内陸国で、人口約3000万人、平均年齢24歳と非常に若い国です。名目GDPは約400億米ドル、一人当たりGDPは約1400米ドルと経済規模はアジアの中でも小さく、農業と海外労働者からの送金が経済を支えています。
低地の亜熱帯気候から高地の寒冷な山岳気候まで、地域により気候が大きく異なります。特に山岳部出身者は寒冷な気候での生活経験があるため、日本の冬季の寒さにも比較的順応しやすい傾向にあります。また、国土の大部分が山岳地帯という点で日本と共通しており、地形的な環境への適応も早いとされています。
ヒンドゥー教徒が約80%を占め、2008年に君主制から共和制に移行しました。
特定技能ネパール人の特徴と対応ポイント
勤勉で誠実な国民性で、与えられた仕事に対する責任感が強く、真面目に取り組む姿勢が日本企業からの評価も高くなっています。
「客人を神のように」というヒンドゥー教の考え方が根付いており、特にホスピタリティ産業での活躍が期待できます。
人懐っこく協力的で指示に従うことが得意で、目上の人を敬う文化や、集団での調和を重んじる価値観は、日本の企業文化との親和性が高いと言えます。
計画性に欠けることがありますが、計画を具体的に示すことで、業務をスムーズに進められ、助け合いを活かしたチーム作業を取り入れることで能力を発揮することができます。
ネパール人材の特徴として特に注目すべきは、その定着率の高さです。一度就職すると長期間同じ職場で働き続ける傾向が強く、技能の習得と向上に意欲的です。失踪率の低さは、入管の折り紙つきです。
年長者や経験者から学ぼうとする謙虚な姿勢を持ち合わせており、指導がしやすいとの評価を多く受けています。
英語教育が普及しており、基本的な英語でのコミュニケーションが可能な人材が多いことも、職場での円滑なコミュニケーションに役立っています。
日本での就労に対する意欲が非常に高く、日本語学習にも熱心に取り組む傾向があります。
実際に技能実習生は、仕事に対する真摯な態度と学習意欲の高さが高く評価されています。
このような特徴から、長期的な人材育成を考える企業にとって、特に魅力的な人材供給国の一つと言えるでしょう。
まとめ
それぞれの国ごとに異なる背景や特徴を理解し、適切な対応を行うことで、職場でのコミュニケーションや作業効率が向上しますし、文化的背景を尊重し、具体的な指導や責任感を与えることによって、外国人労働者が職場で力を発揮できる環境を作ることが可能になります。
本稿が外国人の受け入れを検討される企業にとって、採用戦略を考える際の一助となれば幸いです。
今後も、特定技能外国人の採用や管理に関する情報をブログで発信していきますので、ぜひご期待ください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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