皆さん、こんにちは。
登録支援機関として、日々外国人雇用をサポートしている行政書士・税理士の山田勝義です。
特定技能外国人が新しい職場で最高のパフォーマンスを発揮するためには、職場へのスムーズな適応が不可欠です。
しかし異文化の中で働くことは、言語の壁、文化の違い、仕事の進め方の違いなど、多くの課題を伴います。そこで重要となるのが、企業による手厚いサポートプログラムです。
本稿では、特定技能外国人が職場に馴染み、その能力を最大限に発揮できるよう、企業が導入すべき具体的なサポートプログラムについて詳しく解説していきます。
これらのプログラムは、特定技能外国人の定着率向上だけでなく、組織全体の活性化にも繋がるでしょう。
特定技能外国人受入研修の重要性と具体的なステップ
特定技能外国人が新しい職場環境にスムーズに適応し、能力を最大限に発揮できるようにするためには、特定技能外国人受入研修が欠かせません。
このプログラムは、初日のオリエンテーションから始まり、数週間から数ヶ月にわたる継続的なサポートを提供するものです。
具体的なステップの例は以下の通りです。
①会社概要や組織のルールを説明するオリエンテーションを実施します。
②業務に必要な知識やスキルを習得するためのトレーニングを段階的に行います。
③異文化理解研修で、日本特有のビジネスマナーや価値観への理解を深めることができます。
④定期的なフィードバックや面談を通じて進捗を確認します。
⑤課題があれば早期に解決する体制を整えることが重要です。
これらにより、特定技能外国人が職場での役割を早期に理解し安心して働ける環境を構築できます。
言語とコミュニケーションの壁を乗り越えるための支援
特定技能外国人が日本の職場で活躍するためには、言語とコミュニケーションの壁の克服のための
支援が不可欠です。
日本語学習の支援として、オンラインレッスンや会話パートナー制度を導入する企業が増えています。
業務に直結する表現や単語を重点的に学べるカリキュラムを提供することで、実践的な言語能力を向上させることができます。
多言語対応のマニュアルや社内ツールを整備することで、日常業務での混乱を軽減することができます。
異文化コミュニケーション研修を実施し、日本人職員と特定技能外国人が互いの文化やコミュニケーションスタイルを理解する場を設けることも効果的です。
これらの支援策を通じて、言語の壁を超えた円滑なコミュニケーションを実現できます。
メンター制度の導入と効果
特定技能外国人が新しい職場に適応する際、メンター制度は大きな助けになります。
メンターとは、先輩職員が新入職員の相談役としてサポートする仕組みで、業務上の質問から職場環境への適応まで幅広く支援します。
メンターを選定する際は、異文化理解が深く、コミュニケーション能力に優れた職員を選ぶことがポイントです。
日本人職員等にメンター研修を実施してサポートの方法や留意点を事前に共有することも重要です。
メンター制度の具体的な進め方の例は以下の通りです。
①定期的な面談を設けます。
②外国人が感じている困難や課題を共有する場を作ります。
③メンターと外国人が共同で目標を設定します。
④達成をサポートすることで、職場適応を促進できます。
メンター制度を活用することで、社員間の信頼関係が深まり職場全体の雰囲気の向上にも繋がります。
異文化理解と相互理解を深めるための取り組み
職場における異文化理解を深めるためには、さまざまな取り組みを通じて職員間の相互理解を促進することが重要です。
文化交流イベントを開催し、特定技能外国人の母国の文化や習慣を紹介する機会を作ることが挙げられます。
多文化共生に関するワークショップを実施し、異文化に対する偏見や誤解を解消する場を提供することも効果的です。
社内報などに異文化紹介コーナーを設け、特定技能外国人が自身の文化を発信できる場を作ることで、社内の多様性への理解を深めることができます。
このような取り組みを通じて、社員間のコミュニケーションが活発になり、多文化共生が自然な形で実現される職場環境を築くことができます。
生活面でのサポート
特定技能外国人が日本での生活をスムーズにスタートできるよう、生活面でのサポート体制を整えることも重要です。
具体的には、住居探しや賃貸契約のサポート、銀行口座の開設支援、行政手続きのサポートなどが挙げられます。
これらの手続きは日本特有のルールや文化が関わるため、専門知識を持つスタッフが対応することで、トラブルを防ぐことができます。
医療機関の情報提供や、緊急時の対応について事前に案内することで、外国人が安心して生活を送ることができます。
特定技能外国人が、日本での生活習慣やマナーを学べるようなセミナーを開催することで、ストレスを軽減し、職場でのパフォーマンスの向上にもつなげることができます。
これらの生活支援は、登録支援機関と連携して行うこともできます。
キャリアプランの開発支援
特定技能外国人が長期的に成長し、キャリアを築けるよう支援することも重要です。
キャリア目標を明確にし、その達成を支援するための研修プログラムを提供します。
専門スキル向上のための講座やリーダーシップ研修を設けることで、特定技能外国人が自分のキャリアプランに沿ったスキルを磨ける環境を整えます。
キャリアカウンセリングを実施し、特定技能外国人一人ひとりのニーズに応じたアドバイスを行います。
社内公募制度を活用して、興味のあるプロジェクトやポジションに挑戦できる機会を提供することも有効です。
これらの取り組みは、特定技能外国人がキャリア形成に興味や希望を持ち、長期的に働く意欲を高めることができます。
成功事例と失敗事例
他社の成功事例や失敗事例を学ぶことで、自社に適したプログラムを構築するヒントを得ることができます。
成功事例
介護施設がメンター制度導入時に、日本人配偶者の経験豊富な外国人を、メンターに抜擢したところ、特定技能外国人がそのメンターを目標にして、業務に熱心に取り組むようになり、職場全体も活気づき問題や解決策を話し合う機会が増えて、特定技能外国人が今までよりも短期間で夜勤業務に入れるようになったというケースが報告されたことがあります。
日本語学習機会の提供のため、地域の国際交流団体と連携して、日本語教師の派遣を依頼した結果、日本語能力試験やスキルアップのための必須研修のための、日本語スキルアップができ、何よりも地域社会との絆が深まり、地域の行事に参加する機会が増えたとの報告があります。
失敗事例
職場内で十分な言語サポートがなく、外国人が業務内容を理解できず孤立してしまい、日本語能力があまり問われない他の職種に転職してしまったケースがあります。
日本人職員とのコミュニケーションが希薄であったために、情報の全てをコミュニティに頼っていたために、コミュニティ内の同国人に新しい職場を紹介されて転職してしまったというケースがあります。
これらの事例から、適切な支援体制を整えることの重要性が分かります。
具体的な事例を参考にしながら、自社の課題やニーズに応じたプログラムを設計することが成功への鍵となります。
法的・制度的な情報提供
特定技能外国人が安心して働ける環境を整えるためには、法的・制度的な情報提供が欠かせません。
特定技能外国人にとっては、特に重要な在留資格に関する情報をわかりやすく説明し、必要な更新手続きや注意点を共有します。
労働法や社会保険制度についても詳しく解説し、特定技能外国人が自身の権利や義務を理解できるようサポートします。
これらの情報を多言語で提供することで、言語の壁を感じることなく理解を深めることができます。特定技能外国人が法的トラブルを避け、安心して働ける環境を提供することが可能となります。
まとめ
外国人全般に言えることですが、彼らは自身の権利にばかり目を向けて、義務を疎かにする傾向があります。
ある程度日本語が話せる特定技能外国人は、ダメ元で何でも言ってくるため、現場の日本人職員からすると、仕事も日本語もままならないのに、権利主張ばかりするわがままな存在と認識され、いずれ敬遠
されてしまいます。
職場で孤立した外国人が、居心地が悪くなり転職してしまうケースも少なくありません。こうなる前に、直属でない管理者や登録支援機関のような第三者が、外国人との話し合いの場を設けて、お互いの立場や考え方の違いや誤った情報を修正して理解させる必要があります。
外国人社員が職場に馴染み、活躍するためには、さまざまな角度からの支援が必要です。
オンボーディングから生活支援、キャリアプランの開発まで、包括的なプログラムを整えることで、外国人が持つポテンシャルを最大限に引き出すことができますが、社内でこれらを実施するには、経験豊富な職員が中心となって、効率よくサポートする必要があります。
外国人サポートプログラムについては、経験豊富な私たち登録支援機関が所属機関をサポートすることができます。
小さな取り組みから始めても、継続的に改善を重ねていくことで、持続可能な環境を作り上げることができます。
一緒に力を合わせ、多様性が生み出す新たな価値を共有しましょう。
コメント