特定技能制度とは?メリット・デメリットを考える

在留資格制度

特定技能外国人制度とは

特定技能外国人制度は、日本の深刻な人手不足を解消するために、2019年4月に導入された新しい在留資格制度です。この制度により、一定の専門性や技能を有する外国人材が日本で働くことができるようになりました。

本記事では、特定技能外国人制度の概要や特徴メリットとデメリットについてわかりやすく解説

します。

制度の概要

特定技能には特定技能1号と特定技能2号の2種類があります。特定技能1号は、相当程度の知識または経験を必要とする業務に従事する外国人が対象であり、在留期間は最長5年となっています。

一方、特定技能2号は、熟練した技能を要する業務に従事する外国人が対象で、在留期間の更新が可能であるほか、家族の帯同も認められると規定されています。

対象となる分野

現在、特定技能1号で働ける分野は、従来の介護、ビルクリーニング業、素形材産業・産業機械・電気電子情報関連製造業、建設業、造船・舶用工業、自動車整備業、航空業、宿泊業、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業、の12業種に加えて2024年4月から、自動車運送業、鉄道、林業、木材産業の4分野が特定技能の対象に加わり、16業種となりました。

実態と統計

特定技能外国人制度の導入以降、在留者数は年々増加しています。2023年6月末時点での統計によれば、特定技能外国人の在留者数は約15万人に達しており、当初の予想を上回るペースで増加しています。

分野別に見ると、飲食料品製造業で働く外国人が約3.7万人と最も多く、次いで介護分野が約2.9万人、建設業が約2.8万人となっています。また、外食業では約2.5万人、農業では約1.4万人が活躍しており、これらの分野が特に人手不足を補う重要な役割を果たしています。

国別の割合を見ると、ベトナムからの在留者が全体の約47%を占める約7万人と最も多く、次いでフィリピンが約2.5万人、インドネシアが約1.8万人、中国が約1.2万人と続いています。その他の国籍も含めると約2.5万人に上り、多様な国々からの人材が日本で働いています。

(注:統計数値は2023年6月末時点のものです。最新の正確な数値については、出入国在留管理庁の統計資料をご確認ください)

試験制度と日本語能力

特定技能外国人として働くためには、技能試験日本語試験の双方に合格する必要があります。技能試験は各分野で必要とされる知識や技能を測るために実施されており、例えば介護分野では介護技能評価試験、外食業では外食業技能測定試験が行われています。

日本語試験では、日本語能力試験(JLPTN4)か、国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)のいずれかに合格することが求められます。職場や日常生活に必要な基本的な日本語が理解できるレベルの日本語能力が重視されています。

日本語能力試験N4レベルもしくは国際交流基金日本語基礎テストBasicレベルでは、日常的な会話をある程度理解できる読解力や聴解力が求められます。このレベルでは、ゆっくりかつはっきりと話す標準日本語に限り簡単な意思疎通が可能であり、基本的な日本語の文法や漢字の知識(約300字程度)が理解できます。N4レベルの日本語では、難しい用語は置き換える必要があります。

仕事中の日本人同士の会話のスピードについていくのは、まだまだ難しいでしょう。

支援体制

特定技能外国人を受け入れる企業には、日本語学習の支援や生活オリエンテーションの実施住宅の確保支援生活相談や苦情対応外国人と日本人との交流促進などの支援が義務付けられています。これらの支援は、特定技能外国人が安心して働ける環境を整えることを目的としています。

受入企業がこれらの支援を直接提供できない場合は、登録支援機関に委託することが可能です。登録支援機関は、外国人の受け入れをサポートする専門機関であり、生活オリエンテーションの実施や日本語学習の支援、生活面の相談対応など、外国人が日本で生活する様々な場面での幅広い支援サービスを提供します。

このような支援を受けることで、外国人は新しい環境にスムーズに適応しやすくなり、より働きやすい職場の環境整備につながります。

特定技能受入のメリット・デメリット

特定技能外国人制度には、外国人と受入企業の双方にとってさまざまなメリットがあります。外国人にとっては、日本人と同等以上の給与水準が保障されることや、同一分野内での転職が可能であることが大きなメリットです。労働関係法令や社会保険の対象となることで、権利が適切に保護されることも魅力です。

受入企業にとっては、一定の日本語スキルと技能の知識を有する人材を確保できる点が最大のメリットといえます。

外国人採用、人手不足の解消に効果があり、最長5年という在留期間を活かして計画的な人材育成が可能になります。技能実習制度と比較すると、企業内転勤などの柔軟な人材活用が可能である点も特徴です。

外国人のメリット

①日本人と同等以上の給与水準が保障されるため、経済的な安定が得られる。

②同一分野内での転職が可能であり、より良い職場環境を選択する自由がある。

③労働関係法令や社会保険の対象となることで、権利が適切に保護される。

④日本での就労経験を通じて、技能や語学力を向上させる機会が得ることができる。

受入企業のメリット

①受入企業は、人手不足の解消に効果的である。

②技能実習生よりも高い日本語スキルや職種別の知識を有する人材が採用できる。

③技能実習制度と比較して、労働者としての処遇が適切といわれている。

④同業種転職は可能。しかし2号昇格に同法人での勤務経験年数が必要なため安易な転職はしない。

デメリット

①特定技能1号の場合、在留期間が最長5年に制限されており、家族帯同が認められない。

②就労可能な分野が限定されており、認定された分野以外での働き先を探すことが難しい。

③日本語の習得や文化の違いへの適応に、時間と努力が必要である。

④受入企業にとっては、日本語学習や生活支援の提供に時間やコストがかかる。

⑤行政手続きの複雑さや多言語対応など、受け入れ体制の整備に負担が生じる。

課題と展望

この制度には一方でいくつかの課題も存在します。

外国人にとって、特定技能1号の場合には最長5年の在留期間という制約があり、家族帯同が認められない点が大きな制約となっています。認定分野以外での就労が制限されているため、キャリアの幅を広げることが難しいという問題があります。日本語の習得や文化の違いによるストレスも継続的な課題として挙げられます。

受入企業にも支援体制の整備に関する負担があります。例えば、日本語学習や生活支援の実施、住宅確保などの費用が必要となることや、社内での多言語対応や文化理解教育の必要性、さらに在留資格関連の事務手続きの煩雑さなどが挙げられます。外国人と地域社会との共生を図ることも求められます。

特定技能2号への移行を促進する仕組みづくりや、より効果的な支援体制の構築も重要です。この制度はまだ発展途上であり、関係者全体が協力して改善と調整を進めていく必要があります。

まとめ

特定技能外国人制度は、日本の深刻な人手不足を解消するための重要な取り組みです。外国人と受入企業の双方にメリットをもたらす一方で、解決すべき課題も多く存在します。この制度をより良いものにするためには、関係者全体が協力し、より柔軟で包括的な支援体制を構築する必要があります。

登録支援機関は、受入企業の支援体制の整備に関する負担や煩雑な在留資格関連の事務手続きを軽減します。

煩雑な支援業務は、登録支援機関の私たちにお任せください!

参考出典:

出入国在留管理庁「特定技能外国人制度について」

厚生労働省「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策」

国際交流基金「JFT-Basic試験概要」

法務省「特定技能制度運用要領」

出入国在留管理庁「特定技能制度の運用状況について」

コメント