特定技能制度って何? ~人材不足を補う優秀な外国人を雇用するために~介護、ビルクリーニング、宿泊、外食産業の分野の方は必見です。

特定技能制度

2024年問題。報道でも目や耳にすることが増えてきています。
簡単に言うと、法令の制限により人員不足が生じるということです。

建設事業・建設関連の警備業
バス・タクシー・トラックドライバー
医療従事者である医師
鹿児島県・沖縄県の甘しゃ糖・分みつ糖製造工場での製糖従事者等

について、労働時間の上限を今までより低く設定し、規制を厳しくして、働き方改革を進めましょう。ということです。

ほかの業種については、すでに大企業では2019年4月1日から、中小企業では2020年4月1日から時間外労働の罰則付き上限規制が実施されています。
ですから、ここで新たにできた制度というわけではなく、上述の機械化やIT化などが難しく人員確保が必要な業種・職種について、5年間猶予されていたということです。

要するに、「その猶予された期間内に働き方の仕組みを変えたり、人員確保をしておいてください」ということだったのですが、実際には、企業が努力しても仕組みづくりや人員確保が難しく、5年たった今、「困った」となっているわけです。

もっとも、企業側にしてみれば、できるだけ経費を抑制したいと思うのは当然で、それまでの猶予期間内に人員を多く入れてしまえば、余剰となってしまったり、シフトが組みにくくなったり、あるいは人件費の負担が過剰になることもあり、ギリギリまで対策を待ったということなのでしょう。

国も、労働時間の短縮を含めた働き方改革には力を入れているため、助成金の種類を増やして対応しましたが、中小企業の経営状態は、国が思っているほど優れているとは言えないため、企業側が二の足を踏んで対策を先延ばしにしてきた実態もあるわけです。

話が若干逸れましたが、今までは時間外労働や休日労働などで賄っていた業務を、2024年4月以降も同じ内容で行うためには人手が足りなくなるため、その部分を何らかの方法で補う必要があるということです。

では、どのように人員を確保するかということですが、ここで課題となるのが、若年層の考え方です。
実際に、ある企業内で20代の従業員に聞いてみたところ、
「給料は生活できる程度でいいから、大変な仕事には就きたくない」
「福利厚生が充実していて、休みがしっかりとれるところで働きたい」
という意見が多く上がりました。

ということは、現業職場において、若年者の活躍を期待することは難しいかも知れません。
現実問題として、高齢化しているのは明らかです。
となると、「今後、日本人だけで人員確保をするのは難しいだろう」から、「優秀な外国人に職についてもらいましょう」という考えに至るわけです。

もちろん、医師などの難関資格へのハードルは高いですが、ほかの要資格職種でも人員不足は生じています。最近になって、国土交通省が外国人ドライバーを増やすため、「特定技能」の対象とする検討に入ったというニュースが出てきました。
試験自体は外国語で行うことができても、「日本語の道路標識や表示を認識できるのか」という意見もあるとは思いますが。そういったことも含めて今後検討されるのだと思います。

前置きが長くなりましたが、今回は「特定技能」制度についてのおはなしです。

現在のところ、特定技能制度は次の12分野で認められています。

介護 航空業
ビルクリーニング業宿泊業
素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野農業
建設業漁業
造船・舶用工業飲食料品製造業
自動車整備業外食業

先ほど書きましたように、機械化やIT化が難しい業種・職種や、就業人口が減少したり高齢化しているなど人員確保に苦慮している業種・職種が並んでいます。

実際に、これらの分野で外国人労働者が働いているところを見る機会も多くなっているのではないでしょうか。
外食業では違和感はなくなっていますし、インバンウド需要がある宿泊業においては、ホテルのフロントやレストラン業務などのように、日本人より適している職種もあります。
ちなみに、「航空業」は貨物や整備の業務が中心ですから、パイロットやアテンダントは特定技能には含まれておりません。

特定技能には,次の2種類の在留資格があります。

特定技能1号

特定産業分野に属する相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従
事する外国人向けの在留資格

特定技能2号

特定産業分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格

特定技能1号のポイント

在留期間:1年,6か月又は4か月ごとの更新,通算で上限5年まで
技能水準:試験等で確認(技能実習2号を修了した外国人は試験等免除)
家族の帯同:基本的に認めない
日本語能力水準:生活や業務に必要な日本語能力を試験等で確認
(技能実習2号を修了した外国人は試験等免除)

特定技能2号のポイント

在留期間:3年,1年又は6か月ごとの更新
技能水準:試験等で確認
日本語能力水準: 試験等での確認は不要
家族の帯同:要件を満たせば可能(配偶者,子)
受入れ機関又は登録支援機関による支援の対象外受入れ機関又は登録支援機関による支援の対象

(特定技能 ガイドブック ~特定技能外国人の雇用を考えている事業者の方へ~
出入国在留管理庁 発行)

特定技能在留外国人の数については、出入国在留管理庁が公表しています。
こちらをご覧ください。

001359454.pdf (moj.go.jp)
出典:出入国在留管理庁「特定技能制度運用状況」

ただ、やはり以前の「技能実習」のイメージが残っていて企業側にとっては、「職種が限られている」「期間が短い」「使い勝手が悪い」「途中でどこかにいなくなってしまう」といった印象が少なからずあるのかも知れません。

上のPDF「特定技能制度運用状況」を見てわかるとおり、新たに「特定技能制度」を利用して入国した人はまだまだ数が少なく、ほとんどが従前の「技能実習」や「留学」などから在留資格を変更した人たちです。
そういった意味では、今まで日本にいて就業していた人たちが引き続き働くわけですから、日本にある程度慣れている人たちです。
人材をお探しの事業所の方は、登録支援機関に確認してみるといいでしょう。

当グループでも、みなさまのお役に立てる登録支援機関を設立しております。ご参考まで。
外国人雇用・登録支援 (katsu-yamada.com)

では、特定技能ではない方法で外国人を雇用する方法はないのでしょうか。
出入国在留管理庁が認めている在留資格は、大学教授や先ほど挙げた医師あるいはパイロットなどの高度な技術を必要とする特別な職が多く、一般的な業務に就ける資格は、ほとんどありません。
強いて可能性があると言えるものを記載してみます。

経営・管理企業等の経営者,管理者等
医療看護師等
介護介護福祉士
技能外国料理の料理人

看護師や介護福祉士については、かなり前に話題にはなりましたが、残念ながら不足数をカバーするほどの合格者は出ておりません。
そのほかであれば、

留学大学,専門学校,日本語学校等の学生
家族滞在就労資格等で在留する外国人の配偶者および子

ですが、原則的に就労自体が認められておりませんが、資格外活動許可を受けた場合は、次の要件で就労が認められています。

1週間に28時間以内の収入を伴う事業を運営する活動
報酬を受ける活動(いわゆるアルバイト的な活動)

の申請があった場合に許可されます。

これを見ると、外食産業や宿泊業、医療や介護の現場でも、最前線の現場において外国人を雇用するのは難しいことがわかります。

つまり、今までの制度では、次のような、ほぼ日本人と同等の人たちでないと常用雇用することはできなかったわけです。

永住者永住許可を受けた者
日本人の配偶者等日本人の配偶者・実子・特別養子
永住者の配偶者等永住者・特別永住者の配偶者,我が国で 出生
し引き続き在留している実子
定住者日系3世,外国人配偶者の連れ子等
以上 出典:法務省「在留資格一覧表」

それが、一定のハードルはあるものの、人で不足を補える常用雇用ができる特定技能制度」ができたことで、外国人の雇用が進歩したわけです。

例えば、介護の分野で見ますと

分野別運用方針(抜粋)
5 その他特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する重要事項
(1)1号特定技能外国人が従事する業務 身体介護等(利用者の心身の状況に応じた入浴、食事、排せつの介助等)のほか、これに付随する支援業務(レクリエーションの実施、機能訓練の補助等)とし、訪問介護等の訪問系サービスにおける業務は対象としない。
分野別運用要領(抜粋)
第3 その他特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する重要事項
1.1号特定技能外国人が従事する業務 介護分野において受け入れる1号特定技能外国人が従事する業務は、上記第1の試験合格等により確認された技能を要する身体介護等(利用者の心身の状況に応じた入浴、食事、排せつの介助等)の業務をいう
あわせて、当該業務に従事する日本人が通常従事することとなる関連業務(例: お知らせ等の掲示物の管理、物品の補充等)に付随的に従事することは差し支えない

また、1号特定技能外国人の就業場所は、技能実習同様、「介護」業務の実施が一般的に想定される範囲、具体的には、介護福祉士国家試験の受験資格要件において 「介護」の実務経験として認められる施設とする。
出典:「特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領 -介護分野の基準について」
– 平成31年3月 法務省・厚生労働省

と記載されていますから、企業側にとっては、「使い勝手がいい」仕組みに変わっています。

というように、従来日本人が担っていた「業務の内容」を外国人で補うことができるようになったということです。
敢えて「業務の内容」とカッコつきで書いたのは、意思疎通やニュアンスの点で、日本人と同じように働けるかはわからないけれど「業務の内容」は補うことができるという意味です。

「技能実習」の制度と比べても、人員が不足している「補助的」業務に配置できる点で、制度自体は受け入れやすくなりました。

上では介護の例について触れましたが、ビルクリーニング、宿泊、外食産業の分野についても「就労可能な業務」が増えています。
個別の業種の状況や仕組みについては、今後のブログで触れてまいりたいと思います。

とはいえ、まだ制度が始まったばかりで、まだ需要過多の状態です。
1つ目のPDF「特定技能制度運用状況」の最後のページ⑥を見ますと、2023年6月現在で登録支援機関登録件数が8,404件となっております。

しかし、「公益社団法人国際厚生事業団『介護分野における特定技能制度の推進方策に関する調査研究』報告書」などを見ますと、介護事業者においては、外国人の受け入れ態勢は整っているものの、「支援契約の実績はない」という回答が多数を占めているようですから、介護事業者も、どこからどのように外国人労働者を受け入れていいのかわからないというのが実態のようです。

つまり、ほとんどの「支援機関」は、紹介をしていないと読み取れますから、「登録しているだけ」です。
外国人を雇用する際には、登録支援機関選びも重要です。慎重に検討しましょう。

ご覧いただきましてありがとうございました。

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